UP令和3年11月23日
173回武庫川エコハイク

「武庫川渓谷と桜の園ハイク」実施報告

エコグループ・武庫川
日 時:令和3年(2021年)11月20日(土)9:30〜14:00  晴れ時々曇り  最高気温21℃
行 程:集合JR西宮名塩駅前(挨拶とコース説明)9:40〜くらがり街道〜楠の巨樹(保護樹・基準点・茅葺民家説明)10:00〜旧福知山線廃線跡(旧リバーサイド住宅跡と災害説明)10:10〜名塩川鉄橋〜武庫川ダム計画地(計画凍結の説明)〜北山第1トンネル(説明)10:20〜北山第2トンネル(説明)10:47〜溝滝(渓谷と岩場説明)11:00〜武庫川第2橋梁(近代化産業遺産説明)11:18〜長尾山第1トンネル(洪水被害時の説明)〜親水広場(昼食休憩/亦楽山荘と櫻守の会の活動紹介)11:35/12:15〜桜の園周回(もみじの道・城が丘・隔水亭活動基地・育樹の丘(紅葉ビューポイント説明)〜親水広場13:35〜長尾山第2・3トンネル〜僧川合流点畑熊前(一次解散)14:00〜JR武田尾駅
( )内は案内担当:平山・濱野(桜の園)の説明
 当日配布資料(行程説明書次回行事案内
参加者:73名(内訳:一般64名+スタッフ9名)
 一般参加者は宝塚市・西宮市・尼崎市・伊丹市・神戸市北区・三田市・丹波篠山市の流域各市からの参加の他、流域外からは猪名川・川西市・芦屋市・神戸市灘区・須磨区・垂水区・西区・明石市・三木市・豊中市・箕面市・大阪市淀川区・西区・住吉区・堺市・東大阪市・八尾市・和泉市・泉大津市・宇治市などの地域からも参加を得た。
所感
 好天が続いている。今日も、朝は冷え込んだものの青空が広がり、穏やかな天気である。近畿各地の紅葉は平年並みといったところか、見頃を迎えている。コロナも近畿で40名前後と収束状態にあり、今日の廃線跡は混雑が予想される。念のため、マスク着用と三密を避けるよう参加者にお願いする。
 本日の参加者は上記の通り64名で遠方は明石・三木・和泉・宇治などからあり多数の参加を得る。コース上では隊列が長くなり、一般ハイカーも多いので案内は難しく、スタートに当たって主な見どころ(くらがり街道、廃線跡、トンネル、鉄橋、桜の園、紅葉ビューポイントなど)や注意事項(トイレなし、整列、ガイドの前に出ない、後ろにならない、トンネル内ライト点灯など)を説明する。日中は汗ばむ陽気となり、小春日和の中、武庫川渓谷と桜の園の紅葉を楽しんでいただけた。
本文
「くらがり街道」
 駅前を中国道沿いに下ると塩瀬中学前を経て尼子谷川沿いに出る。尼子谷川の源流は西宮高原ゴルフ場だが水量少なく透明。毎回「くらがり街道」の質問が出る。杜氏たちが朝早く丹波を出立するとこの辺りで暗くなることからそう呼ばれた。西宮市保護樹の楠・二等水準点で休憩し衣服調整する。茅葺民家を右手に見て廃線跡に入る。廃線跡歩きは正規のハイキングコースではないので、あくまでも自己責任ですよという意味の看板がある。JR西日本が自衛上安全対策を施してはいるものの、廃線跡やトンネルがいつ崩壊するかわからない。トイレがないのもその理由による。

くらがり街道(旧丹波街道)を歩く 保存樹付近

くらがり街道に残る茅葺民家(芝辻邸)
「廃線跡」
 名塩川鉄橋を渡り、武庫川渓谷に入る。川下の渓谷が大きく左折する場所にある「旧リバーサイド住宅」の洪水被害による全戸(83戸)移転の説明をする。こんな場所に建設許可を出した行政の姿勢が疑われる。北山第1トンネル入り口付近はダム計画地であったところで、調査のためにかけられた鉄骨の梯子や地質調査のための坑道が残る。懐中電灯の用意をお願いしてトンネルに入る。小石がごろごろ、枕木が浮き上がっているところがあり歩きにくい。対向者もあるから注意が必要である。北山第2トンネルはコース上最も長い413mで、S字カーブしているので出口も入口も見えない。みんなで歩いているからいいものの、一人では怖い。はしゃいでいるのは子供だけ。誰かが蝙蝠を見つけたようで後で写真を見せてもらう。

北山第1トンネル入り口付近はダム計画地

V字谷を歩く
V字谷が続く。山の頂は左岸は宝塚クラシックゴルフ場、右岸は読売ゴルフ場であり両者は標高約300mの平原である。約 100 万年前に起こった六甲変動と同時期にこの地域も隆起し、これに対抗して武庫川が穿刻し、流路がそのまま残る特異な先行河川が形成されたのである。山肌は黄葉が多く、ところどころに紅葉が見える。黄色の多くはコナラ、赤色ははハゼ、ヌルデなどでイロハモミジはない。神社仏閣の庭園のもみじと違って自然の中の黄葉・紅葉は趣があっていい。

溝滝

天狗岩付近
 渓谷最大の溝滝前で休憩する。廃線跡の脇に積まれている枕木は洪水で流されたものである。トンネルの中を渦巻いて流れる洪水を想像するだに恐ろしい。溝滝尾トンネルを出ると武庫川第2橋梁である。わずか70mではあるが、赤茶けた鉄骨の鉄橋(トラスト構造)は往時を偲ばせる。今は安全に配慮して中央に手すり付きの木製の通路を作っているが、数年前までは足元に渓谷が覗く側道を歩いていたのである。多くの人がカメラを取り出す。撮影スポットである。

武庫川第2橋梁

長尾山第1トンネル出口より親水広場、桜の園を望む
 長尾山第1トンネルを抜けると、遠方に親水広場や桜の園の稜線が見える。展望広場にかけてここも撮影スポットである。振り返る景色もいい。武庫川渓谷を跨ぎ、千苅水源池から上ヶ原浄水場まで約15kmをつなぐ神戸水道の水管橋が山肌の紅葉に映える。歩行6km・3時間、親水広場で大休止とする。紅葉は丁度見ごろを迎え、水面に影を映している。高台の広場で、河原で、思い思いに弁当を広げる。至福のひと時である。

展望広場付近

親水広場
「親水広場」
 昼食後、桜の園へ登る前に記念撮影をする。桜の園(亦楽山荘)の概要を説明する。桜博士笹部新太郎氏の桜の演習林である。東京帝大法学部を卒業、末は博士か大臣かを投げ捨てて桜の研究に生涯をかけた士であり、御母衣ダム(岐阜県)の建設にあたり、水没することになる樹齢500年のエドヒガンの移植に成功させたことで有名である。嘗ては5千本を数えた園内の桜も今は1千本以下となり森林ボランティア団体「櫻守の会」が整備に当たっている。ちなみに武庫川エコハイクのスタッフは全員がそのメンバーである。

集合写真(クリックで拡大)
「桜の園」
 桜の園の班長を務める浜野氏の案内で園内を周遊する。リュックなど重い荷物はスタッフが預かる。もみじの道→城ケ丘→ロックガーデン→育樹の丘→さくら道→エントランス広場を経て親水広場に戻る。標高差100m、周回1.5km、歩行1.5時間の行程である。
 もみじの道から眺める紅葉の大峰山、笹部新太郎氏が財界人を招いて宴会を催したという城ガ丘広場、ロックガーデンの隔水亭のオオモミジの紅葉、育樹の丘からの紅葉、滝道の紅葉、エントランス広場の紅葉など、4大紅葉スポットをめぐる。廃線跡を歩く人は多いがここまで足を延ばす人は少ない。PRが足らないのか櫻守の会員として反省する。

桜の園紅葉スポット

育樹の丘の紅葉

隔水亭の紅葉

エントランス広場の紅葉
桜の園周回を終えて親水広場から長尾山第2トンネル、第3トンネルを抜けて武田尾へ向かう。速足はトイレが我慢できない女性陣である。僧川合流点畑熊商店前で一次解散をする。スタッフの案内はここまでで、この先、武田尾温泉右岸コース・足湯の希望者に道案内をして別れる。小春日和の中、紅葉も見ごろで満足なハイキングであった。お疲れ様でした。

僧川合流点畑熊商店前で解散
エコグループ・武庫川

文/平山、写真/三宅・佐藤   

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