UP 令和6年(2024年)3月11日
201回武庫川エコハイク

道場から大岩岳・丸山湿原を歩く」 実施報告

エコグループ・武庫川
・日 時:令和6年(2024年)3月9日(土)9:40から14:40 曇り、小雪舞う
・行 程:JR道場駅前・挨拶とコース説明スタート(9:35~9:45)~千苅浄水場前~東山橋説明10:00~松風の滝説明10:05~千苅ダム神戸水道の説明・放水見学(10:20~10:25)~(大岩岳南登山ルート)~ザレ広場大岩岳説明(10:55~11:05)~南登山口~大岩岳山頂(昼食・山並み説明・集合写真(11:35~12:15)~丸山西分岐(バス組と別れる)12:50~丸山湿原(案内板で説明)10:55~丸山三角点~風吹岩説明13:35~東山橋14:25~JR道場駅(次回案内解散)14:40
先導案内 岡・佐藤/最後尾 上田(威)、当日配布資料(行程図説明書次回活動案内
・参加者:68名(内訳:一般参加者61名、スタッフ7名)
 一般参加者は宝塚市・西宮市・尼崎市・伊丹市・神戸市北区の流域各市からの参加の他、流域外からは、川西市・三木市・箕面市・池田市・豊中市・吹田市・大阪市福島区・都島区・城東区・旭区・西成区 ・寝屋川市・四條畷市・堺市・羽曳野市・八尾市などの地域からの参加があった。
・所感
 寒波が戻ってきた。今日の道場駅周辺の民家の屋根には薄く雪が積もっている。大阪で3月23日と言われている桜の開花も遅れるのではないだろうか。今日は久しぶりの山歩きコースである。大岩岳は384mの低山だが、自然林に囲まれ、川、森、ダム、湿原、岩場ありと変化に富み、山頂からの展望も素晴らしい。北摂では人気の山であるが、枝道が多く、湿原のため雨後は登山道が冠水することもあるので注意が必要である。武庫川最大の支流、羽束川流域にあることも武庫川エコハイクにとって意義のあるコースである。
 さて、2007年(平成19年)に武庫川の自然、環境、歴史などを知ろうという思いで発足した武庫川エコハイクは、17年目を迎え、延べ8400人(スタッフとも9500人)を超える参加者を得て今日に至っています。リピーターが多く、参加者の皆さんには感謝申し上げます。
 今後の武庫川エコハイクについては、スタッフの高齢化のため毎月の催行が困難になってしまい、ペースウンすることになりました。4月花の武庫川渓谷と桜の園、11月紅葉の武庫川渓谷と桜の園は実施するとして、その間のハイキングはオプション行事として不定期に開催することにします。今までの人気の高かったコースや、武庫川の周辺河川を含めたコースを実施したいと考えています。募集案内はホームページ上(武庫川エコハイクで検索)で行いますのでこれからも皆さんのご参加をお願いします。

スタート道場駅前
「千苅ダム]
 三田は寒い。今朝の最低気温は氷点下2℃、道場周辺の民家の屋根が白い。今日は久しぶりの山歩きのためか参加者は61名と多く、初参加の人たちだろうか若い女性の姿が目立ち、にぎやかだ。歩行11kmの長丁場だが、コース上にトイレがないのが問題。武庫川に沿って不動岩の下を歩く。路肩の駐車スペースが満車なのはロッククライミングを楽しむ人たちだ。武庫川と羽束川の合流点にある千苅浄水場は千苅貯水池の水を神戸市北区に送水している。羽束川にかかる50mほどの古い橋が東山橋で、帰りにここに下りてくる。羽束川をさかのぼっていく。流量が多いのはダムが放水している証拠。左手の谷に松風の滝、村雨の滝の看板がある。覗いて見える急流が松風の滝で、村雨の滝は奥へ20分ほど入り込まなければならない。車道は千苅貯水場で行き止まり、これから先は貯水場を回り込むように太陽と緑の道が続く。ただしこの道は平成26年に廃止の案内がある。市民トイレがあるが、ここが最後のトイレである。貯水場は新・神戸花の名所に指定され、花見客が押し寄せるが、コロナ以降は閉鎖されたままである。

武庫川に沿って歩く

松風の滝・村雨の滝

羽束川 東山橋・JR福知山線・新名神高速

千苅貯水場
千苅ダムが見えてきた。予想通り放水している。先週と今週の2回の雨で満水に達したようである。42mの高さから、17門のゲートによって放水される姿が美しい。右わきの導水トンネルから轟音を立てて流れ落ちる様も迫力満点。大正8年(1919年)竣工近代土木遺産指定。水道用のダムだが、治水にも使えるよう対策が進んでいる。千苅橋をわたって大岩岳に向かう。

放水の千苅ダム

導水トンネル
「大岩岳」
 ダムを少し下ったところから、フェンスの急坂を上っていく。網目をつかむのが楽だ。渓谷の流れを渡って再び急坂を登る。千苅貯水池の湖面がはるか下に見えるところの分岐を右にとる。大岩岳登山南ルートである。直進は波豆集落方面で、途中に大岩岳西ルートがある。迷い易いので先行者がピンクテープを結んでくれてある。緩やかな登りを15分で広いザレ地に到着、周囲が開ける。南に六甲の山並み、行く手に大岩岳の山塊が見える。本物の大岩岳がどれか見誤りやすいが、ピラミッド型の山容が本峰である。

フェンスを掴んで

大岩岳南登山道

ザレ広場

ザレ広場から大岩岳(中央)
 すこし休憩して、山頂直下の南登山口へ歩く、リョウブ、コナラ、ヒサカキの自然林に松の実生が点在する。急登が始まる。標高差は80mほどだがここは難所。一段目の登りで展望が開ける。2段目の登りがさらにきつい。巨岩を乗り越えて、南東尾根に合流するとすぐに山頂である。最近、山頂の立木が切り払われて丸坊主となった。見晴らしがよくなった半面風情がなくなった。切り倒した木々が無造作に放り投げてあるのは、我々森林整備活動に携わる櫻守の会のスタッフには乱暴に見える。 早い昼食をとる。山頂は座るスペースがないほどの混雑で、他のハイカーに迷惑をおかけしたことをお詫びします。風が冷たい。

南尾根 巨岩を超えて

丸坊主の大岩岳山頂

大岩岳二等三角点384.1m
 昼食後周囲の山々を同定する。眼下に広がる千苅貯水池、羽束山、大船山、有馬富士など振り返れば新名神高速のかなたに六甲山、大峰山、中山連峰が。街並みは三田市街、神戸北区有馬温泉方面である。京都愛宕山など遠方は時雨雲でかすんでしまっている。集合写真を撮ろうにも全員が入りきれない。

大岩岳からの展望

参加者の面々1

参加者の面々2

参加者の面々3
「丸山湿原」
 山頂に登るには3本のルートがあるが、そのうちの東ルートを下る。登ってきた南ルートよりも急坂で捕まる立木も頼りない。前の人との間をあけながら慎重に下る。最低点の4差路まで標高差70mが非常に長く感じられた。東大岩岳への分岐から丸山湿原方向に下る。東大岩岳から東尾根を下って丸山湿原に下るコースも展望もよく人気だが、今日は時間短縮のためパスする。湿地の植林帯を抜けて下りてきたのは丸山西分岐。ここで西谷の森公園を通ってバスで武田尾駅に下りるエスケープルート(約1時間)を用意したが男性1名だけであった。今日は健脚ぞろいである。丸山湿原を通って道場駅に戻るにはまだ2時間以上はかかる。筆者は男性をサポートするためエスケープルートをとった。
 緩やかに登ると丸山湿原である。5つある湿原のうち、第3湿原を木道で渡り、第1湿原北分岐にある案内板で湿原の成り立ちや湿原の生物の説明をする。周囲には凝灰岩が風化したシルトから成るはげ山が多く、降雨によって流出してくる水分によって湿原が成立した。平成26年(2014)宝塚市天然記念物に指定され、現在「丸山湿原群保全の会」が保全活動をしている。春浅き今は枯れ草に覆われ、見るべき生物はない。

丸山西分岐(竹筒に石ころを入れて人数を数える)

丸山第3湿原

丸山第1湿原

丸山湿原群 白地はシルトのはげ山(国土地理院空中写真)
「風吹岩」
  第1湿原の西側を歩いて丸山三角点に立ち寄る。281.4mの四等三角点は登山道から少し外れているのでうっかりすると通過してしまう。風吹岩に向かう。左や右への分岐道があるので注意が必要である。静かな森歩きから岩稜に変わる。歩行注意、前方に坊主頭のような奇岩が見えるのが風吹岩だ。ここに来ると急に風が強くなることから命名したようである。風吹岩をバックに写真撮影する人が多い。

丸山三角点281.4m

風吹岩へ続く岩稜

風吹岩
「東山橋」
 風吹岩を下ると再び低木林の中の道となる。しかし、歩く道は雨が降ると水路と化すようで、中央部がえぐれていたり、水浸しであったりで歩きにくい。何本かの小川も増水すると渡渉に水濡れを覚悟しなければならない。下見では飛び石を置いたり、回り道を探したりした。羽束川の流れが見え、切り立った岩を回ると東山橋である。橋上から武庫川合流点が見える。往路に戻ってきた。

岩場を回り込むと東山橋が近い

東山橋から羽束川合流点 右は千苅浄水場
 車道を15分も歩けば道場駅である。ここからリーダーの先へ行くものが増え、道場駅で締めを行うつもりが折から入ってきた14時43分発の電車にかなりの人数が乗ってしまい、流れ解散状態になってしまった。後に来た20人ほどには2回に分けて、再度今後の予定等を説明した。 健脚者ぞろいで、予定の15:30解散よりも大幅に早く終了できたことは結構ではあるが、スタッフが追い上げられたり、先を越されたりの事態に、スタートに申し上げたようにペースダウンすることが妥当であると感じたハイキングであった。
文・写真・編集:佐藤・平山
エコグループ・武庫川

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