UP 2022年(令和4年)10月10日
185回武庫川エコハイク

「逆瀬川源流域の山々を歩く」実施報告

エコグループ・武庫川
日 時:令和4年10月8日(土) 9:35~14:30   晴 最高気温18.0℃(宝塚)
行 程:阪急宝塚駅前(挨拶とコース説明スタート9:45)~宝来橋~塩谷川~紅葉谷橋(10:06)~行者山登山口(10:35)~猪谷~反射板(11:25)~東六甲縦走路~縦走路道標#33(11:55昼食12:30)~大谷乗越(12:47)~焼石が原分岐(13:02)~AコースまたはBコース~ゆずり葉緑地公園(14:00,14:30) 安全確認し自由解散(西高前バス停バス利用又は徒歩で阪急逆瀬川駅へ)
 ★Aコース:~焼石ヶ原ガレ場(13:25)~エデンの園(13:42)~ゆずり葉緑地公園(14:00) 全行程 9.5km
 ★Bコース:~小笠峠登山口(13:05)~小笠峰(13:20)~樫ヶ峰(13:55)~ゆずり葉緑地公園(14:30) 全行程11㎞
・説明:岡・平山
・当日配布資料(行程図説明書次回活動案内
参加者:75名(内訳:一般参加者68名+スタッフ7名)
 一般参加者は宝塚市・西宮市・尼崎市・伊丹市・神戸市北区・三田市の流域各市からの参加の他、流域外からは川西市・神戸市灘区・兵庫区・中央区・須磨区・三木市・大阪市淀川区・福島区・住吉区・旭区・西成区・吹田市・箕面市・堺市などの地域からも参加を得た。
所感:
 武庫川の支流逆瀬川は東六甲大平山を源とする河川です。その上流域は、かっては一雨で千石もの土砂が崩れ落ちるといわれた谷で千石ズリと呼ばれ、下流は逆瀬川砂漠とも呼ばれていました。明治中頃から昭和の初めにかけての大規模な植林、砂防事業により緑の大地に蘇りました。今日は逆瀬川の砂防の歴史を訪ねる山旅で、逆瀬川源流域を挟んだ東六甲縦走路から社家郷山系を周回しました。かつての荒廃した逆瀬川の姿はなく、緑の公園や住宅地となっていました。我々が安全で安心な暮らしができるのは砂防事業のお陰であることを実感することができました。
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「宝塚温泉」
 宝塚駅1Fのゆめ広場に集合した参加者は約70名、曇り空ですが先日の暑さがうそのような肌寒いお天気です。今日のコースと観察ポイントを説明します。ハイキングの趣旨は、かつて暴れ川であった逆瀬川の源流域の山々を歩き、砂防の歴史を訪ねことにあります。
 出発してすぐに武庫川にかかる宝来橋を渡ります。昔は木製の人道橋で温泉客が行きかう橋でした。洪水の度に流され、現在の橋はフランスの彫刻家マルタ・パン氏の設計で平成6年(1994年)に完成したものです。形状からS字橋と呼ばれています。対岸が温泉街でしたが、今はホテル若水だけが残り、あとはマンション群となってしまいました。橋の西詰に「宝塚温泉」の碑が立っています。向いにあるコンクリート張りの建物は安藤忠雄氏設計の市営宝塚温泉ナチュールスパです。冷たい感じのコンクリート張りの建物は温泉にふさわしくないのかお客も少なく、今は身売り状態だそうです。

宝塚ゆめ広場でスタートミーティング

宝来橋を渡る
「塩谷川・支多々川」
 六甲縦走大会の終点となる湯本台を左に見て、六甲縦走路となっている塩谷川沿いの住宅地を上っていきます。右岸に宝塚温泉の泉源タンクを見ます。冷泉ですがホテル若水とワシントンホテル、ナチュールスパに供給しているそうです。
 紅葉谷橋で六甲縦走路と別れ、更に塩谷川を遡ります。右岸の武庫山は櫻守の会が森林整備していますが、土砂警戒区域であり大がかりな治山工事が進行中です。またこの道は光ガ丘中学への通学路ともなっています。標高差100mの往来は若者の体を鍛えるにはいいでしょうが、シニアの身にはいささかきつく、ゼイゼイハアハアです。

宝塚温泉泉源

塩谷川を遡る

 塩谷川と別れて光ガ丘住宅地に上がってきました。山裾を歩いて標高230mの行者山光ガ丘登山口へ到着です。ここからは山道となります。国土地理院の地図をベースとした道標は15年ほど前に地元の有志によって立てられたもので、6カ所ある行者山登山ルートに計20本あります。支多々川(したたがわ)の源流、猪谷を登っていきます。昨日の雨で滑りやすくなっているで慎重に歩きます。

行者山光ガ丘登山口

猪谷(支多々川源流)を登る
「六甲縦走路」
 行者山への道と別れて六甲縦走路に取りつきます。きつい登りをこなし、阪急電車の反射板に到着です。展望が開け、眼下に宝塚など阪神間の街並みや大阪の高層ビル群、大阪湾が見えます。ここでお昼と思いましたがまだ11時過ぎなので少し休憩して縦走路を歩くことになりました。縦走路では何人ものハイカーに出会いましたが六甲全山縦走大会が近いためでしょう、中にはトレランする若者もありました。道標#33地点で昼食休憩。標高は540m、稜線に吹きつける北風が冷たくヤッケをはおっての昼食です。昼休みを利用して宝塚最高峰岩原山573mを往復する人もありました。じっとしているのも寒いので早めに出発します。大谷乗越で縦走路と別れ、車道を小笠峠に向かって下ります。盤滝トンネルが無料となったので車の通行はほとんどありませんが、路上のタイヤ跡はヘアピンカーブを楽しむスピードマニアの仕業でしょう。

阪急電車反射板

六甲縦走路

六甲縦走路#33道標

北風にヤッケを着込んで昼食

ヘヤピンカーブの車道を下る
「焼石ケ原/社家郷山コース」

 小笠峠手前で焼石ケ原を経て宝塚エデンの園へ下るコースがあります。一般の人はこちらへ、健脚者は社家郷山コースを歩き、両者ゆずり葉緑地公園で合流します。約半数に分かれました。筆者は焼石ケ原コースを選びました。このコースは逆瀬川の上流焼石ヶ原を下っていくので、昔の千石ズリを偲ぶことができます。途中のガレ場は崩落が始まっており、放置すると通行できなくなる可能性があります。
 約40分で宝塚エデンの園(高級有料老人ホーム)に到着しました。築40年を過ぎた建物は老朽化を感じますが、六甲山麓の閑静な場所は人気があるようです。ただ入居時の費用が○千万円もしますので貧乏サラリーマンには高値の花です。逆瀬川駅行のバス便がありますが、全員終点のゆずり葉緑地公園に向かいます。
焼石ケ原コース(Aコース )

焼石ケ原を歩く

崩落が始まっている

宝塚エデンの園
社家郷山コースは急登、急下りはありますが尾根筋からの展望が素晴らしく、大阪湾から大阪、阪神、京阪の街並みが、遠く京都比叡山、葛城・金剛・紀北の山々が霞み、振り返れば今歩いてきた六甲の山並みが見えます。
社家郷山コース(Bコース)

歩いてきた東六甲縦走路を振り返る(谷は焼石ケ原)

樫ヶ峰に向かう

南に甲山、大阪市街、大阪湾を望む
「ゆずり葉緑地公園」
 ゆずり葉緑地公園の砂防モニュメントでは先回りした上田会長のお迎えです。焼石ケ原コースは予定よりも1時間早い到着です。ドーム内には明治初期のはげ山から現在の緑地帯になるまでの逆瀬川砂防の歴史が写真展示してあります。堰堤など砂防設備は2019年土木遺産に認定されました。会長の説明を受けた後自由解散。バスで、徒歩で逆瀬川駅に向かいました。社家郷山コースを歩いた人は約30分後に到着。同じく会長の説明を受けて解散しました。
 健脚ぞろいだったためか事故もなく、当初の予定よりも30分から1時間も早い到着でした。今日は逆瀬川砂防の歴史を歩くハイキングでしたが、我々が安全で安心な暮らしができるのは砂防事業のお陰であることを実感することができました。お疲れ様でした。

ゆずり葉緑地公園の砂防モニュメント

逆瀬川砂防の歴史を説明する上田会長

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昔の逆瀬川・今の逆瀬川

明治の頃の逆瀬川上流(千石ズリ)

今日の逆瀬川上流域(ゆずりは橋から)
エコグループ・武庫川

文・写真/平山   

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