UP 令和2年1月13日
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151回武庫川エコハイク

「大平山から船坂峠を歩く」実施報告

エコグループ・武庫川
日 時:令和2年(2020年)1月11日(土) 10:00〜14:00   晴れ
行 程:集合:阪急逆瀬川駅前(バス)・・・エデンの園(バス停/挨拶とコース説明スタート10:10)〜千石ズリ(10:33説明)〜県道82号(10:50説明)〜大谷乗越(11:14説明)〜六甲縦走路〜NTT管理道(11:35)〜大平山(三等三角点説明)11:50〜展望所(12:00〜12:30説明/昼食休憩)〜船坂峠(12:50説明)〜清水谷〜水場13:22〜船坂橋バス停(13:40解散/バス帰路別分乗/西宮・有馬回り13:55)・・・希望者旧船坂小学校見学〜船坂バス停(15:29宝塚行乗車)
( )内は平山担当の説明。当日配布資料(行程図説明書次回活動案内
参加者:81名(内訳:一般73名+スタッフ8名)
 一般参加者は宝塚市・西宮市・尼崎市・神戸市北区・三田市の流域全市からの参加の他、流域外からは川西市・神戸市灘区・中央区・須磨区・西区・三木市・明石市・箕面市・摂津市・高槻市・枚方市・堺市・岸和田市・泉南市・大阪市淀川区・福島区・西成区・阿倍野区・京都山科区・奈良葛城市・滋賀東近江市などの地域からも参加を得た。
所 感:
 今回は逆瀬川上流のエデンの園から東六甲縦走路を経て、船坂峠から船坂の集落までを歩きました。かつての六甲山は樹木もないはげ山で、大雨ごとに水害や土砂災害が発生していました。逆瀬川の上流域は千石ズリと呼ばれたように、風化した花崗岩の土砂に埋もれ、山並みははげ山と化し、荒涼とした風景が広がっていました。明治末から昭和初頭にかけての植林や砂防工事により、今は水害もなく緑の大地に生まれ変わっています。今日は六甲山を緑の山並みに変え、土砂災害を防いできた先人の足跡を偲びながらの山歩きです。下の写真は逆瀬川上流域の今昔です。

明治初期の逆瀬川上流(大平山方面)

現在の逆瀬川上流(ゆずり葉緑地公園から大平山・エデンの園を見る)
「焼石ヶ原」
 今年は暖冬でしょうか。正月以来穏やかな日和が続いています。エデンの園バス停(標高280m)に集合したのはスタッフを含めて81名です。逆瀬川駅からは1台のバスに乗り切れず、定刻9:30より早く集まった方々は1本前のバスに乗っていただいてよかったです。いつものガイド氏はお休みで、急遽お鉢が回ってきておろおろしましたが、皆さんをご案内することになりました。配布の地図を広げていただいて今日のコースや見どころなどを説明。至らぬところは配布の説明書ご覧いただくとして、特に帰りの船坂からのバスの西宮、有馬、宝塚への分散乗車をお願いしました。

エデンの園バス停付近からの大平山(左上)

スタートミーティング81名
 冒頭に記したようにエデンの園バス停付近はかつては幅200mにわたり土石の河原が広がっていたところです。今は老人施設エデンの園はじめ高級住宅が広がっていますが規制区域なので勝手に住宅は建設できません。きちんと砂防工事ができて心配はないとは思いますが、土砂災害警戒区域と隣り合わせなので、ひとたび大雨が降ると危険です。
 エデンの園から車両立入り禁止ゲート横を通り、通称焼石ヶ原と呼ばれるところに入っていきます。入口付近は駐車場などがある小広場ですが、かつて砂防工事に名を借りた墓地の造成計画があり、地元の住民の反対運動で中止になった経緯があります。キャンプや飯盒炊さんで賑わいを見せていた焼石ヶ原は車も入れたのですが、大型廃棄物が捨てられたり採石業者が入ったりしたため立ち入り禁止になりました。登山道脇には、捨てられた廃車の残骸がまだ残っています。河原より山寄の道を進みますが、小石のごろごろ転がる道は歩きにくいです。20分ほど歩き、衣服調整の休憩を取りましたが、この辺りは千石ズリの面影を残し、山腹崩落が進んでいます。放置すると通行できなくなるかもしれません。

焼石ヶ原の道

千石ズリ 崩落が進む
 約40分で小笠峠下の県道82号線(棚越新道)に出ました。宝塚と西宮北部・三田方面を結ぶ幹線道路でしたが、ヘヤピンカーブの連続と冬季の凍結でしばしば通行不能になるため有料の西宮北道路盤滝トンネルができました。一昨年トンネル通行が無料となったので、車の通行がほとんどなくなりましたが、時々マニアックな車が猛スピードで走るなどの危険があります。またごみ捨て街道の悪名をもち、沿道の谷には大型家電や家具、車のタイヤなどが捨てられ目を覆いたくなります。不心得者には腹立たしくなります。約30分、舗装の道路を登ります。女性陣はおしゃべりに余念のない人が多いが、男性には退屈でしんどい道のりです。ヘヤピンカーブを登りきると六甲縦走路の休憩ポイント大谷乗越(標高500m)です。

県道82号線(棚越新道)を歩く

六甲縦走路 大谷乗越道標NO31で休憩
「大平山」
 大谷乗越から六甲縦走路を六甲最高峰に向かって歩きますが、いきなりの急階段です。手すりやロープがありますが足が届かない程の段差もあります。高低差は20mほどですが今日一番の難所です。膝に故障のある私は健脚者に先行してもらい、やっとの思いでクリアできました。後ろで歌声が聞こえてきました。お父さんに連れられた障害者の方のようですが、今日は気分がいいのでしょう。こちらも元気づけられます。
 しばらくの登りでNTTの管理道に上がってきました。大平山はあとわずかです。後続を待つためしばし休憩を取ります。脱落者もなく順調と思ってましたが、体調不良の男性が現れました。この先は山道となるため、スタッフが付き添って管理道を船坂へ下山することになりました。

六甲縦走路 大平山へ急階段を登る

NTT管理道へ
 車道をしばらく歩くと大平山道標No31です。大きなアンテナはNTT船坂無線局で、山麓からよく目立ち、岩倉山の阪急反射板とともに東六甲のシンボルです。希望者は縦走路を外れ、大平山の三等三角点681.2mを往復しました。縦走路を10分ほど歩いたところにある展望地点でお昼としました。山林が切り開かれ、南に向けて展望が広がっています。眼下に社家郷山・甲山や阪神間の街並み、大阪の高層ビル群の向こうに生駒、葛城、金剛山、東に目を転ずれば能勢妙見、五月山、天王山、はるかに比叡の影も見えます。日向の斜面や倒木に腰掛けたりしながらお弁当を広げます。

東六甲のシンボル NTT船坂無線局

大平山三等三角点

展望所で昼食  眼下に大阪の高層ビル群・・阪神間の街並みが広がる
 往路もそうでしたが帰りのバス分散乗車が気になります。ここから2時間あれば15時までに船坂に下山でき、いずれのバスにも間に合います。先頭集団は12時前に到着しましたので12時40分に出発すれば大丈夫です。ただ最後尾の到着が10分以上遅れたため十分な休息が取れなかったようで申し訳ありませんでした。
「船坂峠」
 船坂まで林間の道を歩きます。途中の峠は710mあり、本日の最高ポイント道標No30です。やがてクマザサ(熊笹)の道となりますが、この植物はミヤコザサ(都笹)といい、クマザサよりも背が低く、茎が細くて、枝分かれしないのだそうです。葉の周りの縁取りは同じですが、胸元まであるような笹がクマザサなんですね。勉強になりました。そうこうしているうちに船坂峠(標高660m)に到着です。ミヤコザサに囲まれた峠はよく見れば十字路です。南(左)にかすかな踏跡は東六甲ドライブウェイに下ります。熟練者でなければ歩けません。北(右)はこれから下る清水谷で、道標No29があり、船坂に至ります。かつては丹波と灘を結ぶ間道で丹波杜氏が通った道です。
 

船坂峠

清水谷 船坂へ 
「清水谷」
 後続を待ちます。バスの時間が気になりますがあと1時間あれば船坂へ下山できます。隊列が長く、おそらく100m以上はありそうで、しばらく待っても最後尾が現れないので、先に下山します。体調不良の男性に付き添っていたスタッフから、船坂バス停で無事にバスに乗れたという電話が入りました。よかったですね。
 よく踏み込まれたミヤコザサの道が尾根を下っていきます。それでも落ち葉の下に隠れた小岩があり、足元は十分に注意が必要です。道をふさぐ倒木などは下見時に処置していますので順調な下りです。やがて清水谷に降りてきました。水の流れはありませんが幅の広い渓谷歩きになります。薄暗く、荒れた谷は思うように下れません。ガレ地や段差を避けながら右や左と曲折しながらの行進です。リーダーよりどんどん先に行く方たちはトイレに行きたいがためのようです。残念ながら今回の行程の途中にはトイレはありません。やがて水場(標高470m)に到着です。船坂側からの登山口となっていますが標識はありません。小さな貯水槽から水道管が麓に伸びていますが途中で破損して、使い物にはなりません。今は水道が普及してその必要がなくなったのでしょう。流れ落ちている清水は飲めるのでしょうか。少なくとも手や顔を洗うことはできます。

清水谷へミヤコザサの道を下る

清水谷

水場
「船坂」
 車も通れる舗装道路になり民家が現れました。急坂を下っていくと、前方に畑山のアンテナや三田の町も見えてきました。西宮北道路のガードをくぐりり、古民家を過ぎると県道82号線に合流しました。すぐに終点船坂バス停(標高400m)です。時間はまだ13時40分で、船坂峠から1時間足らずで降りてきたことになります。トイレを急ぐ人はこの先のコンビニに飛び込みます。予定のバスはさくらやまなみバス西宮行きが15:06ですが1本前の13:55に乗れます。また有馬温泉方面行きも同時刻にあります。終わりのあいさつもそこそこに、ほとんどがこのバスに乗車しました。残った人の6人は旧船坂小学校を見学して予定の宝塚駅行きのバスに乗車しました。また徒歩で生瀬、宝塚に向かった健脚者がスタッフを含めて数人ありましたが、生瀬駅まで約9kmありますので少なくとも2時間はかかったと思います。

船坂の集落を下る

古民家

船坂バス停に降りてきた

船坂の風景 大平山を振り返る
 帰りのバスの時間が気になり、またトイレを急ぐ人にもせかされて結局1時間以上早く下山することになってしまいました。おかげで皆さん早く帰宅することができたのはよろしいですが、余裕の時間で船坂の名所案内をしたらよかったと思いました。お一人が途中リタイヤしたものの、健脚ぞろいの参加者にスタッフの体力劣化が目立ったハイキングでした。80名の参加者には説明が行き届かず、帰ってから説明書をお読みいただき、武庫川への理解が深まることを期待いたします。
―武庫川エコハイク―

文・写真/平山   

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