平成30年4月14日
132回武庫川エコハイク 

「武庫川渓谷と桜の園ハイク」実施報告

エコグループ・武庫川
日 時:平成30年(2018年)4月14日(土)9:40〜14:30  晴れのち曇
行 程:JR西宮名塩駅前(挨拶・コースと名塩地区の説明9:40発)―くらがり街道(塩瀬地区と旧街道の説明)―廃線跡/武庫川渓谷(旧福知山線の歴史と峡谷、洪水被害と旧リバーサイド住宅、希少植物説明)―名塩川/どん尻川(説明)−高座岩(説明)―ダム計画地跡(10:30説明/小休憩)・北山第1トンネル(10:40説明)―十国の滝/北山第2トンネル(11:00説明)ー溝滝尾トンネル・橋梁(11:30溝滝・天狗岩・第2橋梁・長尾山第1トンネルと洪水被害等説明)―長尾山第1トンネルー展望スポット(11:40説明)―親水広場(11:50昼食休憩/亦楽山荘説明・集合写真12:20)―桜の園周遊(12:25〜13:30説明)親水広場―長尾山第2トンネル―長尾山第3トンネル―僧川−温泉橋(13:50確認・解散)…希望者参加で右岸を周回し渓谷の自然と武田尾温泉等案内(14:30終了)。
( )内は案内担当:森本・浜野の説明
 当日配布資料(行程図説明書次回行事案内
参加者:59人(内スタッフ7人)
 一般参加者は宝塚市・西宮市・尼崎市・伊丹市・三田市・神戸市北区の流域各市からの他、流域外からは神戸市西区・垂水区・長田区・須磨区・猪名川町・丹波市・池田市・豊中市・吹田市・高槻市・堺市・大阪市西区・宇治市などの地域からも参加を得た。
所 感:今年の桜の開花は1週間から10日も早く、各地の花見行事は葉桜の下だったところが多い。先週4/7の「南矢代から藍本までの桜づつみ回廊歩き」は見頃であったが、今日の桜の園のヤマザクラはすでに散ってしまっているとの情報である。そのためか、本日の参加者は例年より少ない。西宮名塩駅でスタート挨拶をして、くらがり街道を歩き、廃線跡へ下りる。

西宮名塩駅でスタートミーティング
 廃線跡歩きの前に、平成16年の台風の洪水被害で全世帯が移転となった旧リバーサイド住宅へ降りてみる。廃墟となった跡地は雑草に覆われ、2段に嵩上げされた防水壁がむなしい。流失し、一段と高い位置に再建された青色の水管橋が目を引く。その一角に県が環境調査の一環として種から育てた武庫川渓谷の植物を植栽しているところがあり、見学する。洪水が繰り返し発生する厳しい環境に適応して生き抜いてきたサツキ、アオヤギバナなど希少植物が9種あった。

旧リバーサイド住宅で

武庫川渓谷希少植物の植栽
「廃線跡」
 廃線跡に戻り、武田尾方面に歩く。平成28年(2016年)11月にJRが安全対策を施して、自己責任ながらハイキングコースとし解放した廃線跡である。リニュ-アルされた名塩川、どん尻川鉄橋および武庫川第2橋梁は木道になり、廃線跡のイメージにそぐわないが、安全上しかたのないところである。渓谷最大の岩、高座岩の上流がダム建設予定地である。今後20年はダムによらない総合治水で対処することになり計画は中止されたが、地盤調査等のはしごや鉄骨がまだ残っている。

どん尻川鉄橋

渓谷最大の岩・高座岩

北山第1トンネル前ダム建設予定地で
 トンネルに入る。北山第1、第2、溝尾滝、長尾山第1と続く。廃線跡も、V字谷を為す渓谷の斜面も萌黄色となってしまったが、ところどころにヤマザクラの花が残っているのがうれしい。参加者が見つけた擁壁に1956-10とあるのは昭和31年の工事の跡だろう。また擁壁に使われたレールの1890の数字は明治22年に輸入されたレールに違いない。福知山線建設の歴史が偲ばれる。武庫川第2橋梁を渡り長尾山第1トンネルにかかる。トンネル口に山と積まれていた枕木は、きれいさっぱりとかたずけられていた。洪水がトンネルに流入し、枕木が根こそぎ流出したのである。想像するだに恐ろしい。長尾山第1トンネルを抜け、桜の園のビュースポットから仰ぎ見る桜の園の稜線は赤褐色に染まり葉桜の態である。擁壁にかわいいツメレンゲ発見、親水広場手前にはウワミズザクラが咲いていた。季節が進んでいる。

廃線跡のヤマザクラ

擁壁は1956年(昭和31年)、レールは1890年(明治22年)製

武庫川第2橋梁を渡る

長尾山第1トンネルと水管橋

展望広場より桜の園を見る
 親水広場で昼食とする。桜の園には行かない何人かはここで別れる。昼食後は集合写真を撮影して、桜の園(亦楽山荘)に入る。標高差100mほどの周遊コースで、岩場の登りなどきついところもあるが、櫻守の会のメンバーがこの日のために登山路を整備し、案内板を設置してきた。廃線跡を歩く多くの人に訪れてほしいところだ。ちょっと待ってください。スタッフがずっと気にかけていて、水も弁当も持たず買物スタイルで参加した85歳のご婦人が、とっとと山に入ってしまったようだ。たまたま知り合った参加者の男性がずっとサポートしてくれていたが、まさかの入山にあわてて追いかける一幕も。結局無事に園内を周遊して戻ってきた。恐るべき健脚である。

新緑の親水広場

親水広場で昼食
「桜の園」
 桜の園はもみじの道から登り、城ヶ丘、隔水亭、育樹の丘を経て桜坂を下り親水広場に戻ってきたが、城ヶ丘ではコバノミツバツツジ、隔水亭はシャガ、育樹の丘では八重桜が我々を迎えてくれた。ただ、ベストビューのさくら坂のヤマザクラは葉桜となって、むしろ新緑が美しかった。最後の長尾山第2、第3トンネルを抜けて僧川にさしかかる。オオシマザクラはまだ花弁を残していた。この場所のトイレは僧川右岸に移設されていた。僧川が深く掘り下げられ、駐車場も整備され、嵩上げ地にはもう住宅が建設中であった。温泉橋前で一次解散して、希望者10数名は温泉橋を渡り、武庫川右岸の植物などを観察しながら武田尾橋へ歩く。ヤマブキに加え、トキワイカリソウが淡い紫色の花をつけていた。幽霊が出るという草山トンネルを抜けて無事武田尾駅へ戻った。

桜の園 城ヶ丘

隔水亭

育樹の丘

桜坂のヤマザクラ
<ハイキングコースで見かけた草花>

ヤマブキ(廃線跡)

シャガ(桜の園)

ツメレンゲ(廃線跡)

トキワイカリソウ(武田尾・武庫川右岸)
桜には遅かったが、萌黄色の渓谷や桜の園は趣があり良かったと思う。花のみちで宝塚だんじりパレードを見て自宅に帰り着くころ雨が降り始めた。予報より少し早い(了)。


<参加者の皆さん>(クリック&クリックで拡大)
文/写真:平山   

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