平成29年9月9日

第124回武庫川エコハイク

 「武庫川もうひとつの源流」実施報告

エコグループ・武庫川
日 時:平成29年(2017年)9月9日(土)9:45~15:00  天 候:晴れ
行 程:
 JR古市駅前(9:45~9:55)(挨拶・古市宿とコース説明)-宗玄寺10:00(説明)-道標10:05(説明)-不来坂10:10(説明)-川代導水路10:20(説明)-集坂10:38(説明)-住山登山口(11:00 説明)-ワン谷林道―鹿物語(説明)-白髪岳登山口(11:25~11:32休憩)-天神川源流親水池11:42-鍵掛の辻12:12-松尾山頂上/酒井城跡(12:30~昼食~13:00)-肩越の辻13:20-文保寺谷13:45-文保寺白髪岳登山口13:55-ハチ刺され事故発生14:00-文保寺(14:10~14:50)(負傷者手当・救急車要請等事故処理)-仁王門15:00(流れ解散)・・・JR篠山口駅
(案内担当:森本/平山)、当日配布資料(行程図説明書次回10月行事案内
参加者:59人(内スタッフ8人)
 一般参加者は宝塚市・尼崎市・西宮市・三田市・篠山市など流域各市のほか、流域外からは大阪市・京都市・神戸市・川西市・小野市・三木市・高石市・箕面市などの地域からも参加を得た。
所 感:
 このところ朝晩めっきり涼しくなってきた。今日は天気快晴、さわやかなハイキング日和である。古市駅に集合したのはスタッフを含めて59人。今回はもう一つの武庫川源流である天神川を探訪するという趣向だが、武庫川エコハイクでは3回目となる。しかし、1週間前の下見の結果、不動滝・高仙寺跡を回り松尾山へ至る寺谷林道コースは道が荒れ、団体で歩くのは危険と判断。急遽、白髪岳登山口・親水池を回るワン谷林道コースで松尾山へ登ることに変更した。ホームページには変更の通知を掲載したが、何人の方が確認できただろうか。参加者には変更版の行程図をお渡しした。

 スタートで本日のコースと古市周辺の説明をして、駅近くの赤穂義士ゆかりの宗玄寺を見学する。新しく出来た「はりま道・大坂道」の道標を経て不来坂に至る。このあたり源平合戦ゆかりの地名が多い。不来坂は地元では「こぬさか」と呼ぶのに、国土地理院は勝手に「このさか」にしてしまったと地元長老が嘆いているというお話を聞く。義経の軍勢が三草山に向かう途中で、平家が待ち伏せしていると思ったのにやって来なかったので「平家来ぬ坂」と云ったと伝えられる。国道372号線から住山に向かう道に入る。田園風景の中、正面にそびえる雄大な山は白髪岳である。
もう刈入れが終わった田んぼが多い。コシヒカリだそうで、青く残っているのは酒米の山田錦。畔には黒豆の畑が続き、ゴボウ畑も散見される。災害復旧碑、三草山に向かう義経軍が兵を集めたという集坂、平家が敗れた後残されて尼になり、住山に移り住んだ人の歌碑がある。正面に松尾山が見えてくる。住山登山口手前で小休止する。スタッフが付き添ってはいるが、一人だけ大幅に遅れているご老人が気にかかる。
 さて住山登山口は、白髪岳と松尾山登山の分岐点である。初めにお断りした通り、白髪岳登山口を経由するワン谷林道を進む。ここでガイド交代、スタッフは6人となる。深い轍の残る林道脇には丹波栗がたわわに実っている。石ころだらけの歩きにくい道になってきた。路傍に白い小さな花をつけたマツカゼソウが茂る。マムシグサも目立つ。鹿が食べないので残っている。白髪岳登山口で小休止、後続を待つ。ツバキの森を左に見て、10分ほどで親水池に到着する。ここが天神川の源頭で武庫川もう一つの源流である。これから松尾山まで標高差250m、時間にして40分、本格的な山道になる。皆さんのペースが速く、まだ11:40分。当初、ここで昼食を考えていたが、一挙に登ってしまおうと衆議一決する。昼食後の登りはしんどいのである。
 マツ、ヒノキの林の中のジグザグの道はしっかりしているが、歩行ペースが落ちる。隊列もいくつかに分かれてしまった。リーダーであった筆者は最後尾に近く、ご婦人をサポートしながらの登りとなった。鐘掛の辻で尾根に出た。白髪岳、文保寺、松尾山の分岐である。最後80mの松尾山直登は特に厳しく、トップから10分以上も離れてしまった。松尾山687mは別名高仙寺山で戦国の酒井氏治が築いた城址。波多野氏に属して多紀郡南西部の守りに任じていたが、明智光秀の丹波攻めで落城、高仙寺も焼亡したという。木漏れ日の下で昼食を摂る。

 ゆっくり昼食を摂る間もなく13:00出発、この先肩越えの辻を経て文保寺への下りにかかるが、ロープ場や急斜面の下り道に注意を促す。最後尾のグループは鐘掛の辻までは登ったが、松尾山登頂を断念して、肩越えの辻で合流することにした。最後尾を歩いていたご老人は、肩越えの辻から一人で音羽山へ行くという。通行不能の表示があり、押しとどめたが、今度は高仙寺阿弥陀堂跡を経て住山に下りるという。ひとりで返すわけにいかず、スタッフ一人を同行させることにした。我々は団体行動であり、身勝手な行動は参加者やスタッフに大変な迷惑をかける。さて文保寺の下りは、はじめはルンルン気分の快適な道であったがベンチを過ぎたあたりで石ころ道となり、長いロープ場に差し掛かった。スタッフがサポートしながら、一人ずつ順番にロープを手に後向きに下ろす。まだまだ安心できない。急傾斜を斜めに下っていくわけだが、小石の道は掴まるところもなく、油断すると谷底へ滑り落ちる。どうやら文保寺谷の流れに降りてきた。川の名は文保寺川、加古川水系の篠山川の支流である。谷を塞いでいた樹木は下見時に伐採し、歩きやすくした。がれ地や堰堤を越えてようやく文保寺白髪岳登山口に降りてきた。文保寺から伸びる舗装林道の行止りが登山口となっている。猪除けゲートを通り、あと10分で文保寺である。

 登山口で後続を待つ間に異変が起こった。一人の女性がハチに刺されたといって座り込んでしまった。スズメバチのようで、スタッフが吸引器等で応急手当を試みるも、らちがあきそうもない。すぐに119番救急車の出動要請をする。刺されたのは一人ばかりでなく、男女各3人計6人にのぼることが判明、救急車3台が出動、3か所の病院へ搬送することなった。隊列が長く伸びて、負傷者の数がなかなかつかめなかったこと、土曜日の午後で受け入れ先病院が決まらない、重症軽症の振り分けなどで、救急車到着から出発までかなりの時間が経過した。スタッフは焦りといらだちで大事にならないことを祈るだけである。最後尾の組はスタッフの誘導で回り道を通り難を逃れた。難に遭わなかった人は文保寺で流れ解散とした。スタッフ5人はJR篠山口駅で待機、負傷者の名簿確認、搬送先の各病院との連絡と一人一人の安否を確認した。5人は手当後退院、ひとりは1泊入院となった。同夜、責任者が入院となった男性をお見舞いした。後日、篠山消防署にもお礼を申し上げた。

 100回以上の回を重ねる武庫川エコハイク始まって以来の災難になってしまった。下見をして、登山道を塞ぐ草木を伐採、安全を確認し、コースまで変更したにもかかわらずこのような事態となってしまい、負傷者はじめ参加者各位に大変ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。今後の活動にこの教訓を生かしていきたいと思います。負傷者各位の一日も早い回復をお祈り申し上げます。なお、参加者全員に保険加入していただいています。
写 真:

①古市駅からスタート59人(内スタッフ8人)

②不来坂(こぬさか)の由来説明

③天神川は3面張り(集坂付近)

④住山から松尾山を望む

⑤住山登山口

⑥天神川源流の親水池から松尾山へ取付く

⑦松尾山頂上で昼食

⑧肩越の辻(文保寺は左下へ下る)

⑨文保寺 白髪岳登山口(この近くでハチに襲われる)

⑩文保寺楼門(仁王門)
   文・写真撮影:平山

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